【他人事ではない】金融車トラブルで131万円請求された事例と専門家の見解

「知人から車を借りて乗っていただけなのに、ある日突然、弁護士から100万円以上の損害賠償請求通知が届いた…」

そんな悪夢のような事態が、他人名義の車、いわゆる「金融車」をめぐるトラブルで実際に起きています。

今回は、リース車両が絡む複雑なトラブルについて、実際の相談事例を元に、その法的なポイントと対処法を解説します。

事例:知人から借りた金融車で131万円の損害賠償請求

まずは、実際に起きたトラブルの概要です。

【状況】

知人から外車を借りていたところ、リース会社の依頼で強制執行を受け、車が引き上げられた。後日、リース会社の代理人弁護士から「不法占有」を理由に、使用料や調査費用など合計131万円の支払いを求める通知書が届いた。

【背景】

この車は、第三者がリース契約したものをブローカー経由で知人が購入した、いわゆる「金融車」だった。弁護士は「盗難車」と主張するが、警察には盗難届ではなく、リース会社から元の契約者への「詐欺横領」の被害届が出ている状態だった。

金融車トラブルに関する法的Q&A

この複雑な状況には、法律上、いくつかの重要なポイントがあります。

Q1. リース会社は関係者全員に賠償請求できる?

A. 請求は可能ですが、損害額以上の二重取りはできません。

今回の請求は、リース会社が「車を使えなくなったことによる損害」を填補するためのものです。

法的には、関係者それぞれに請求すること自体は可能ですが、最終的にリース会社が回収できるのは、実際の損害額が上限です。

誰かが支払えば、その時点で他の人の支払い義務も消滅します。

Q2. 事情を知らなくても支払い義務はある?

A. 「知らなかった」では済まされない可能性が高いです。

不法占有に基づく請求では、「所有者がリース会社だと知っていたか」が争点になります。

しかし、車検証の名義と売主の名義が違う時点で、買主には「通常求められる注意を怠った(=過失があった)」と見なされ、「善意の第三者」とは認められないのが一般的です。

Q3. 金融車の売買自体は違法?

A. 売買自体を直接罰する法律はありませんが、別の法律に違反します。

他人名義の自動車(金融車)の売買そのものを取り締まる法律は現状ありません。

しかし、購入後に名義変更をしないまま乗り続けることは、道路運送車両法が定める「15日以内の移転登録申請義務」に違反する状態となります。

これはリース車でも信販会社の所有物でも同様です。

【結論】トラブルに巻き込まれたらどうすべきか

今回のケースのように、複数の人間が絡み、法律的な解釈が複雑になるトラブルは、個人で対応するには限界があります。

このような通知が届いた場合、速やかに弁護士に相談し、正式に対応を依頼するのが最善の策です。

どこに相談すれば良いか分からない場合は、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所である「法テラス」を利用するのも一つの手です。

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